Colletotrichum acutatum Simmonds ex Simmondsによるオリーブ新梢枯死症

摘要

オリーブの代表的な産地である香川県小豆島のオリーブ圃場で，新梢、樹勢の良好な枝、苗木等に，これまでに良く知られている梢枯病の症状とは異なる枝枯れ症状が多発した．先に，原（1958）は梢枯病によるオリーブの枝枯れ症状の原因菌としてMacrophoma oleae（de Candolle）Berlese＆Voglinoを報告している．肋cゆゐ0∽α属菌は，＆吻鱒紳紺庖属菌の不完全時代とされているが（小林，1992），Macrophoma属菌による枝枯れ症状ほ，Diaporthe sp．およびBotryosphaeria dothideaによる枝枯れ症状の例のように，樹勢の低下に伴い病原菌が侵入し発生する場合が多い（衣川、佐藤，2003）．しかしながら，本研究で報告するオリーブの枝枯れ症状は，先端枝の枯死を伴い，樹勢の強い新梢，枝，苗木等に発生が多いことから，既知の枝枯れ症状を引き起こす病害とは異なると考えた．また，新梢に先端枯死症状が発生した後，これが枯れ込み症状へと進展することが明らかとなったため，新梢先端の枯死症状部位から病原菌の分離を行った．その結果，Colletotrichum acutatum Simmonds ex Simmondsが高頻度で分離され，さらに本菌の接種試験で病徴が再現され，同菌が再分離されたことから，本症状はC. acutatumにより引き起こされるオリーブの新梢枯死症であることが判明したので報告する．