サトウキビ初期生育における根の種類、量と生育量に関する研究

摘要

サトウキビ（Saccharum spp．）は生育初期の気象災害によって枯死することが多く，その結果収量が著しく低下する．これらを改善するためには探根性の根をできるだけ早く形成させ生長を促すことが重要と考えられる．そこで本研究では，サトウキビの根系の様相と初期生育との関係を明らかにするため，深さ1mのポットを用い6品種を供試して40日間栽培し，一次根数，根室密度，および根の探さ指数（RDI）の調査と成長解析を行った．ポット土壌0～30cmの層において，茎根数は板重密度と有意な正の相関関係にあったが，さらに深い層においては両者間に有意な関係は見られなかった．また茎根数が多い個体は全根数に対する茎根数の割合（茎根数／仝枚数）が高くなることが分かった．茎根数／仝板数はRDIとの間に有意な関係は認められず，相対成長率（RGR）との間に有意な正の相関関係が認められた．以上より，茎根の発達は根室密度と茎根数／全根数の増加を促し，結果的に生育初期のRGRを高めることが分－かった．