作物の形態研究法：マクロからミクロまで作物の茎葉器官の量的形質比較法

摘要

作物研究では，精密な比較法の1つである統計的解析も含めて，試験区間でいろいろな比較をする場面が多い．例えば，イネの処理区と対照区の問で梓長を比較することなどは日常ごとである　 この比較の前に梓長が測定される時，ある暗黙の前提がおかれている．すなわち，測定材料にされている主梓あるいは最長梓や第2長梓の茎葉部は，いわば互いに相似形になっている，つまり統計的にいえば対応器官の大きさの変異は正規分布に従っていて，平均値による比較が可能，という前提である“この場合，各梓の茎葉器官の対応づけは止葉から順次向基的に行われるのが常である. この測定法の問題点を明確にし，イネの茎葉器官の量的形質を正確に比較する方法を以下で提案する．