土壌全リン酸含量簡易測定法 zz:小宮山鉄兵; 新妻成一; 藤澤英司; 森國博全

摘要

2008年, 肥料価格が高騰した.特にリン酸については, 資源国が限定されており, 将来の需給関係や価格動向は不 透明な部分が多い.わが国では, これまで農耕地, とりわ け火山灰土壌の改良に多量のリン酸が投入されてきた.そ の結果, 野菜畑, 施設および茶園土壌などでは土壌蓄積が 進行している（小原、中井, 2004).リン酸資源を効率的 に利用するために土壌診断に基づく適正施肥や未利用資 源の利用（家畜ふん堆肥を含む), さらには土壌に蓄積さ れたリン酸の有効化技術（微生物や植物機能を活用した有 効化, 土壌への酸添加や還元化）の開発が必要である.こ れらの技術開発を進める上ではこれまでに投入されたリ ン酸の総量, すなわち土壌全リン酸含量を把握することは 重要であるが, わが国では土壌リン酸の分析法として, 作 物側から見た可給性という観点から, 主にトルォ一グ法 (Truog,1930)やブレイNo. 2 (改)法(土壌環境分析法編 集委員会編, 1997)による評価が行われてきた.トルォ一 グ法では主に土壌中の酸可溶性の力ルンゥム型リン酸が評 师され, ブレイ法では力ルシゥム型リン酸に加えてァルミ こゥム型や鉄型リン酸の一部が評価される.いずれの方法 も蓄積しているリン酸量に対して抽出されるリン酸量の割 合は土壌の種類やリン酸施肥の来歴(施肥量やリン酸肥料 の種類)によって異なると考えられ, 可給態リン酸含量から蓄積リン酸の総量を推定することは難しく, 土壌全リン 酸含量測定が必要である.