数値気象モデルを利用した屋外暑熱環境の広域評価

摘要

【はじめに】夏季には気象情報会社などが熱中症予報を都道府県もしくは市町村レベルで実施し，公表している.その予報には，気温と同じ単位をもつことから直感的に理解しやすい湿球黒球温度（Wet-Bulb Globe Temperature,以降WBGT)が熱中症の指標として多く利用されている.WBGTの数値と熱中症患者数のあい だには明瞭な相関開係がみられることから（例えば，中井ほか，1996:環境省，2004;星ほか，2007),熱中 症リスクへのWBGTの有用性が示されている.しかし，熱中症の発症は生活活動空間の局所スケール環境 の影響を強く受けていることが考えられるため，実際にはより空間的に密な（たとえば都市街区単位など） 情報提供がされると望ましい.そこで，将来的に高解像度の熱中症予報を可能とする方法を確立するため， 本研究ではメソスケール気象モデルに都市構造や人間活動を具体的に扱える街区スケールモデルを連成さ せることで，暑熱環境の評価を試みた.前報（大橋ほか，2008年度大会）では実在する複数の屋外活動空間 を対象に実施したが，本報ではある程度広域をメッシュ分割した暑熱評価手法についておもに検討した.