季節予報に用いる統計資料の再調査及び力学的季節予報（3か月予報，暖候期、寒候期予報）の利用技術の開発-平成13年度全国季節予報技術検討会報告－

摘要

全国季節予報技術検討会では，平成12年度と13年度の2年計画により，「季節予報に用いる統計資料の再調査」と「力学的季節予報（3か月予報，暖候期、寒候期予報）の利用技術の開発」の二つを検討課題とし，調査、検討を行った．前者の課題に対しては，2001年より平年値が更新され，階級区分値の定義が変更されたことから，これまで季節予報業務で利用してきた統計資料について内容を更新し，また気候の変化を把握することで，統計資料の適切な活用を図ることを目指し，全国の地方予報中枢官署において取り組んだ．この課題の内容は，平成12年度と13年度の2年間で行った平年値に関連する調査と，平成13年度に取り組んだ週間予報スケーソレを除く天候情報の検討基準に関する調査の二つからなる．平年値に関連する調査では，1961年から2000年までの観測デートタを基に，最近の気候変化，地上気象要素と高層観測データとの関係，地上気温の変化に対する都市化の影響などを把握することを目指した．天候情報の検討基準に関する調査では，各地力の過去の災害発生状況をまとめるとともに，現用の基準の適否が検討された．後者の課題については，平成14年度末に3か月予報への力学的手法導入を目指して技術開発を進めている気候情報課を中心に検討された．気候情報課からは，季節予報モデルの改善として取り組んできた積雲対流パラメタリピーションの改良や陸面解析の導入等の成果や今後の季節予報モデル開発計乱数値予報プロダクトやガイダンスの評価に関する基礎調査，新たな統計予測モデルとして開発を行った正準相関解析の概念の説明と今後の開発言十画が報告され，さらに気象研究所からはエルニーニヨ現象の日本への影響という観点から，季節予報モデルの実況再現性について報告された．