マイクロアレイ技術を利用したイネゲノム機能解析とイネマイクロアレイプロジェクトの研究状況

摘要

現在様々な生物のゲノム構造解析が行われ，真核生物では，酵母，線虫，シロイヌナズナの全ゲノム塩基配列が決定され，また，ヒトやイネ（インディカ，ジャポニカ）でも，大まかな塩基配列解析終了が宣言されている。 植物の分野においてはシロイヌナズナとイネが単子葉，双子葉植物のモデル生物とされ，これらの植物に関するゲノム機能解析のためのツール開発が，研究者の関心を引いている。 農林水産省では，国家的プロジュクトとして "イネゲノムプロジェクト（http://www.nias.affrc.go.jp/project/inegenome）" を開始しており，構造解析，機能解析ともに多大な予算を投入している。 本プロジェクトには，ゲノム全塩基配列解明，ミュータントパネルを利用した遺伝子単離と機能解明，プロテオーム解析，イネゲノムシュミレータ，DNAマーカーを用いた育種技術の開発，完全長cDNA収集，マイクロアレイを利用した遺伝子の機能解析といった多くのプロジェクトが含まれ，現在，農林水産省関連研究機関を中心に，大学や企業の研究グループの協力も得て精力的に推進されている。