北海道の風土と地域住民参加による農村の活性化

摘要

北海道の農業、農村は，明治初期の北海道開拓における殖民区画が基本となり，わずか130年と新しいものの，わが国の食料供給基地に発展してきた。 また，農村地域は，自然条件，歴史的発展過程，農業生産活動形態等により，各々特色のある風土を形成してきている。 たとえば，本州との交流の歴史が深く歴史的遺産も多い道南地域，明治以来の開拓の歴史遺産である大規模な殖民区画と防風林が中心となっている十勝地域，丘陵地を大規模農地造成等の事業により美しい畑地空間としたオホーツク地域，地平線の果てまで続く広大な酪農地域である根釧地域等である。 これらの独特の風土は，歴史的に蓄積された田園空間の生活や文化的価値を反映するものであり，これらを保全、創造させることが地域の活性化に必要である。 また，平成13年度に土地改良法が改正され，環境への配慮と地域住民参加が位置づけられ，地域住民参加のもと歴史、伝統、文化、然環境などに基づいた新たな農村の風土の形成が重要となっている。