〈新たな水土の知〉が国際的に認知されるために-国際学会の創立にむけて－

摘要

「国際水田、水環境工学会」（International Society of Paddy and Water Environment Engineering）が本年1月に創立されるという。 学会に限らずすべての組織には，創立の理念がある。 理念が浅薄なものであれば，その組織は発展しない。 逆に，理念が崇高なものであれば，必ずやその組織は発展する。 そこで，本国際学会の創立理念となるであろう「新たな〈水土の知〉の定礎に向けて」（農業土木学会誌70巻1号）を1年ぶりに読み返してみた。 農業土木のビジョンとして，準備期間を含めると，じつに2年以上の歳月をかけて策定された香り高い主文であることが読み取れる。 タイトルには，〈新たな水土の知〉と断ってあるので，かつて〈古い水土の知〉が存在していたことを読者に知らせてくれる。 また今回，〈新たな水土の知〉を提起したということは，〈古い水土の知〉を弁証法的に発展させるだけの状況が，学界にも，また農業界にも整いつつあることを言外に匂わせているかのようである。