モンスーン，アジア水田稲作の水利用の効率性と外部経済

摘要

農業用水をより効率的に利用することは，農業での水利用が世界の稔淡水利用量の約7割を占めている現実のもと，重要な課題と認識されている。 このことは近年，限りある水資源の効率的な利用と持続的な管理の見地から，国際社会では水議論の錦の御旗となっている。 しかしこの議論では，水資源の利用が競合している状況が暗黙の大前提であり，水に代わりうる適当な生産資源（水資源の代替財）の存在，あるいは水管理を含む農業生産活動の外部経済の発生に関心が払われていない。 このため，大量の水を利用するモンスーン，アジアの水田稲作については，水利用の効率性が適正に評価されていない面があり，この水利用の将来の方向性を適切に示しうるよう，論点の整理が求められている。