資源利用調整工学としての農業土木-利害調整技術の展開－

摘要

農業土木史は農業の生産力、生産性向上対策の歴史であるとともに水や土地などの資源利用に係る利害調整の歴史である。 農業土木事業では多かれ少なかれ農家対農家，農家集団対農家集団，農村対都市，地域住民対環境保護派などの対立、解決困難な矛盾に直面する。 この対立は農業生産力や生産性の向上を意図した事業の推進を阻害するものである。 事業は多数の特定受益者の合意がなければ成立しないし，水利施設の管理（施設管理事業）においても取水量の調整などの水利調整に合意形成を必要としている。 事業に対立や矛盾の解消を内包しているのである。