「ひとめぼれ」等の耐冷性極強水稲品種の育成及び耐冷性遺伝資源の評価と利用一第64回農業技術功労者表彰受賞記一

摘要

1980年冷害を契機として，高精度耐冷性検定法「恒温採水法」を開発し，耐冷性と良食味を併せ持つ「ひとめぼれ」等を育成した。その過程で，新たな耐冷性基準品種を選定し，広範な水陸稲遺伝資源の耐冷性評価と耐冷性品種の系譜解明を行った。また，耐冷性は異なる系譜間の交配で集積的に強化されることを明らかにし，この手法で従来の極強品種を上回る高度耐冷性系統を育成した。これらは，中国雲南省の高標高稲作限界地帯でも，耐冷性が世界最強級といわれる頚．地の極強品種並みの耐冷性を示し，1993年大冷害でも被害は軽微であった。