平成15年東北冷害特集④: 平成15年の穂いもちの被害解析と今後の展望

摘要

平成15年は，いわゆる「平5の大冷害」以来の冷害となり，東北地方のほぼ全域で穂いもちが多発し，地域によっては地滑り的な激甚発生となった。 いもち病の被害が最も大きかったのは，「やませ」の影響を南接受けた太平洋側の各県で，東北農政局によれば，水稲作付面積に対するいもち病被害面積割合およびいもち病による推定減収量（かっこ内）は，青森県が34．79も（24月kg／10a〕，岩手県39．2qら（34．8kg／10a），宮城県84．1％（52．1kg／10a），秋田県37．8％（11．5kg／10a〕，山形県46．7％（14．6kg／10a），福島県51．4％（39．4kg／10a）である。 特に，宮城県下では空港周辺や新幹線、高速道路沿いで穂いもちが激発したため，一般人にも衝撃を与え，全国紙の1面にカラー写真で惨状が紹介された。 筆者は20年近く東北地方におけるいもち病の発生予察とそれに基づく防除法の開発を念頭に研究を続けてきたつもりだったが，これまでの研究内容に疑念を抱かせるほど人きな衝撃を受けた。これを機に，穂いもちの被害解析と今後の対策について考えてみたい。