国際食料価格高騰と食料危機論争の是非

摘要

天候に左右されやすい農産物、食料市場は不安定であリ、さらには先進国、途上国の間には食の「南北問題」が横たわっているといわれている。食料市場の構造を把握することで、価格高騰をめぐる問題への包括的な解決策を模索する。従来、食料の国際価格が上昇するたびに、将来における食料危機の可能性が声高に議論されてきた。これは何も昨今に限ったことではない。しかし、国際価格の変動自体は、以下に論じるごとく、需要と供給以外の多くの要因から生じるきわめて気まぐれな指標でしかなく、本来この情報からはきわめて短期の議論しかできない。ましてや、食料危機の議論は本質的に長期的構造的なものであり、これを国際価格の動向のみにもとづいて議論するのはきわめて危険である。