農村問題農村社会再編のための現状把握と課題

摘要

1990年代以降、人口減少に伴う過疎化高齢化の進行により、集落内での社会生活の維持が困難となった「限界集落」の存在が、マスコミなどでとりあげられ社会問題化した。こうした状況のなかで、近年、集落や地域の再生をめぐり、新しい政策や議論がさかんにおこなわれている。　ただし、虚相聞題の内容程度は地域レベルで異なっており、そもそも何をもって問題とするかが非常に難しいところである。ひとまず本稿では、農村問題を「農村社会の将来のために考えなければならない課題」として、関連する研究の動向を整理していくこととする。今回対象とするのは、現代日本の農村問題を扱った、2008年1月から2009年l月までに刊行された単行本と学会誌掲載論文、及び2007年以降に開催された関連学会のシンポジウム、テーマセッションである。また、以下の見出し分類は、筆者による便宜上のものである。