麦跡における大豆の不耕起、密植、無中耕、無培土栽培 －水稲用不耕起播種機による出芽∴苗立ちの安定化－

摘要

岡山県の大豆生産は，2005年に作付面積2，740haで全国第18位，10a当たりの生産費，労働費はそれぞれ全国平均の約2倍，5倍（農林水産省統計情報部資料より）となっており，機械化、省力化と規模拡大による低コスト化が課題としてあげられる．本県の自大豆は黒大豆と並んで重要な水田転作作物であり，麦との輪作が行われているが，大豆の播種期には他作物との作業競合（麦収穫，耕起，水稲移植）が生じ，また，播種期～生育初期が梅雨期と重なるため，降雨による作業の遅れや湿害による大豆の出芽、生育の不良（有原2000，中山2006）が問題となる場合がある．さらに，麦と大豆の輪作体系では，刈り落とされた麦わらが土中へすき込まれると大豆の播種作業，出芽，初期生育の障害となる場合がある（御子柴2001）ため，現場では麦わらを焼却処理している事例もある．したがって，天候による影響を受けにくく，適期に高精度で播種ができ，出芽、苗立ちが安定する技術の確立が必要である．