植物の根に関する諸問題〔152〕--作物の根系発達におよばすアンモニア態窒素と硝酸態窒素の影響--

摘要

窒素は，作物の生育にとって重要な元素の1つであることは良く知られている．作物が生育に利用できる窒素形態には，主としてアンモニア態と硝酸態があり，どちらの施用の方が優れるのかは個々の作物によって異なる（Greidanusら1972，原田、高木1964，池田1986，岩田、谷内1953，春日井1939，Kirby 1968，Townsend 1966）．この原因については，窒素の吸収利用の違い（Smirnoff and Stewart 1985）や各器官の生育差（林、熊沢1985，三井、熊沢1964）などが示されている．筆者もマメ科作物のアルファルファを用いて実験を行い，初期生育時ではアンモニア態窒素施用の方が硝酸態窒素施用に比べ，生育や収量、品質が優れていることを報告した（虜瀬ら1994，鹿瀬1997，2000）．