生理生態特性からみたイチゴ栽培の現状と課琴〔3〕 －生理生態特性と作型－

摘要

品種特性と生育制御が作型を構成する主要な技術要素である．このうちの生育制御の対象は主として休眠と花芽分化であるが，筆者は年間の発育周期の中で休眠や花芽分化を捉えることがイチゴの生理生態特性を理解するうえで重要と考えている．イチゴは周期的なサイクルに従って年間生育している．いつの時期でも生育をリセットできる種子繁殖性の植物と異なり，年間の温度，日長などの環境条件と内的なリズムに従って生育し，基本的には樹木などの永年生植物と同様の発育様相を示す．これは当然のことに思えるが，イチゴ栽培では同じような生育状態であっても，サイクル上の位置によってその後の生育や環境条件への反応が異なるので，その特性を理解しておくことが重要である．なお，ここでは一年間の周期的な生育のサイクルを発育周期と呼ぶ．