国際化時代におけるミカン産地の維持条件　－有田地域における農協共販組織の対応－

摘要

農業基本法により「選択的拡大」品目に位置づけられた温州ミカンは，高度経済成長期における大量消費にささえられ，農協共販が中心となって全国的に生産量、栽培面積を伸ばした．しかし，1970年代の供給過剰による価格の大暴落などいわゆる「ミカン危機」の時代や，オレンジの輸入自由化などを契機に，全国的な産地再編を余儀なくされた．全国の温州ミカン栽培面積はピーク時の1973年からは約3分の1まで減少し，ミカン産地では，担い手の高齢化や後継者不足など産地を維持することが困難な状況にある．また1980年代後半以降の国際化時代においては，果実の消費形態も大量消費から多品目少量消費へと移行し，ミカンの消費量は年々減少しており，ミカン産地は，量産、大量流通から高品質生産、市場細分化へと販売対応を変化させた．このように，流通再編下においてミカン産地が維持される条件の一つとして，共販組織が，①販売面において，市場ニーズに対してよりきめ細かな対応が可能であること，②生産面において，生産農家の生産出荷活動に対してより細かな対応が可能であること，この2点が指摘できる．