集落営農法人における常雇従業員と構成員出役者の労務管理の特徴: 広島県0法人を事例として

摘要

近年，集落営農法人において，高齢化と人材不足 の打開策として，従業員の常時雇用の重要性が増し ている.従業員の常時雇用に取り組む集落営農法人 は，従事形態の異なる，構成員出役者（以下，出役 者）と常時雇用従業員（以下，従業員）とを同時に 雇い入れることになる.その際，元々出役者を対象 に実施していた労務管理制度を従業員に適用する場 合と，必要に応じて新たな労務管理制度を導入する 場合があるため，従業員と出役者の労務管理に共通 点と差異が生じると考えられる.とりわけ，出役者 を労働力に位置づけつつ，後継者候補の従業員や多 角化部門の従業員を雇用する法人では，労務管理の 共通点と差異がより明確に表れると考えられる.集 落営農法人における従業員の労務管理のあり方を検 討するためには，まず，これらの共通点と差異を解 明することが重要であろう.