韓国にあける親環境農業政策の展開と意義

摘要

韓国の親環境農業は，1970年代の「緑の革命」時に受けた多投入、化学農法による被害を経験した生産者による自発的な生命重視の有機農業運動から始まった．そして，1993年のUR交渉の妥結以後，政府は農家経済の危機的状況を認識し，農業の競争力向上の一環として，有横農産物などの高品質農産物の生産を支援する親環境農業政策を発展させた．農業政策としての親環境農業は．1994年に農林部（日本の農林省に該当）に担当部署が設置されたことにより本格的に推進されはじめた．とはいえ，1997年までの親環境農業政策の推進は消極的なものにとどまっていた．後に述べるように，有機農産物の品質認証制度の実施や農林部における親環境農業課の設置，また「親環境農業育成法」の制定などにみられるように．法律や制度の粋が組み立てられたが，農政の基本軸足は「規模拡大とコスト削減による競争力ある農業育成」に置かれていたからである．