輸出用植木類の効率的生産技術の確立

摘要

近年、EU諸国や中国などのアジア地域では、日本庭園ブームを受けて日本的な造形樹の需要が高まっている。平成S年頃から千葉県内の植木生産者は海外へ向けての植木輸出に取り組んできている。輸出を開始した当初の輸出額は約2千万円(平成S年実績)であったが、平成M年には約お億円と急増している(図1)。EU諸国や中国に対する需要は今後も堅調と見込まれている。しかし、造形樹の輸出相手国では、根鉢の土壌および植物寄生性線虫類(以下線虫)に開して厳しい検疫体制を実施している。そこで、千葉県農林総合研究センターでは、その対策として造形樹の根から土壌および線虫を除去する根洗いを実施し、ピートモスで鉢上げし、養生する技術を開発した。しかし、これらの技術の実施に当たつては、根洗いには多大な労力がかかることが問題点として浮上してきた。また、造形樹の輸出量急増から、輸出用植木類の枯渴も懸念されてきている。本稿では、これらの植木輸出に関わる課題解決のための取り組みについて紹介する。