市町村農業公社における担い手創出の一形態ー財団法人津南町農業公社を事例にー

摘要

本稿は，過疎化と高齢化の進行により担い手が払底した中山間地域において，農地の中間保有と担い手創出に取り組む市町村農業公社がいかにして農地管理を行い，その地域における担い手創出システムを構築しているのかを明らかにするものである。 ここでは，新潟県中魚沼郡津南町で国営開発畑を基盤に担い手創出システムを展開する財団法人津南町農業公社（以下，津南町農業公社という）を事例対象とする。 津南町における新規参入者に関する研究には，牛腸眞吾氏の「津南町における新規参入者の定着と支援体制」がある。 午腸氏は津南町農業公社の研修生として参入した新規就農候補者の状況をアンケートに基づく意向調査結果で明らかにした。 午腸氏の津南町における新規参入者定着に対する評価は，中山間地域農業の活性化に繋がるものと期待する。 しかし，牛腸氏の分析方法は研修生として入って間もない新規参入者に対する意向調査であり，その後の新規参入者の定着課題が残されていると思われる。