特集「脱成長の農村計画、地域っくり」解題

摘要

近年，脱成長論，縮退経済論，定常型社会論など一昔 前まではあまりにもラディカルだと考えられていた経済 社会の見取り図について語る論者，書物が注目を集める ようになってきた。ヨーロッパではセルジュ'ラトウー シュの著作，日本でも広井良典をはじめとする論者の著者が，一定の共感とリアリティを伴って受容され始めて いる。直接的な契機は，日本における「構造改革」路線の矛盾の顕在化，2007-08年の世界金融危機-リーマン ショックであり，さらにその背景として，世界的規模で のグロ一バリズム/新自由主義/市場原理主義への疑 義，すなわち格差や貧困の拡大，環境破壊，食の安全性 などの要因が考えられる。