メタゲーム論的思考によるメタン発酵消化液の液肥利用 普及シナリオの記述と課題抽出

摘要

地球温暖化や化石工ネルギー資源の枯渴が進行する今 日において，循環型社会形成の重要性は，グロ一バルレ ベルからロ一カルレベルまで様々な範囲で認知され，政 策指針として位置づけられている。我が国においても，循環型社会形成推進基本計画が2008年に閣議決定され，制度的枠組みも整理されてきた。また，その理念を反映 する地域社会のあり方の指針として，バイオマスタウン 構想お）を策定する市町村数も増加傾向にある。近年で は，地域における固有のバイオマス利活用の取り組みを 支える人的ネットワークや需給バランスの面から評価し，意義や課題について整理した西侯（2007) ，岩村 (2009) ,野上ら（2007)のような事例研究も見られる. いずれも優良事例の事後評価に基づくものであるが， バイォマスタウン構想を実現するためには，多様な主体 間連携と環境教育も含めた長期間にわたるハード、ソフト両面のマネジメントが求められる（柚山（2008))。 したがって，資源循環を地域に定着させるには，施設整 備等による技術の高度化のみならず，地域に存在する主 体間の利害関係の調整や摩擦の解消を図り，円滑な合意 形成を進めることが不可欠である。