北海道酪農の現状と課題I浜中町現地調査を踏まえて

摘要

二〇一三年二月の畜産統計によれば、我が国の酪農家戸数はついに二万戸を割り、ピーク時の 一-ニ〇以下にまで減少した。頭数減少にも依然として歯止めがかからない状況にあり、我が国の酪農は明確に縮小過程にある。図ーに見るように、経産牛頭数は一九八四年の一三二万四千頭をピークに減少に転じ、二〇〇八年以降は一〇〇万頭を割り、一三年現在は九二万三千頭になっている。しかし、この三〇年で都府県は約四五万頭減少しているのに対して、北海道はむしろ五万頭増加している。北海道も二〇〇三年の五〇万二千頭をピークに減少に転じているが、二〇一〇年以降は常に北海道が頭数シェアの五割以上を占めるようになつている。指定生乳生産者団体の受託乳量も、二〇〇〇年度に八〇〇万トンの大台を割り込み、二〇〇三年度に一度八〇〇万トンまで回復したが、その後は急速に減少し、現在は七五〇万トン以下にまで落ち込んでしまっている。そうした中で北海道は生産量も漸増から横ばいに推移しているが、結果として生産量、受託乳量とも全国の五割以上をコンスタントに占めるようになつている。