集落構造の変質に対応した生活環境整備の基本構想ー滋賀県五個荘町河曲集落の場合ー

摘要

1960年代の高度経済成長期を境に，農村地域における急激な混住化と生活様式の多様化が進み，これまで受け継がれてきた農村の「しくみ」が崩れ　 農村景観が乱れつつある。 このため，土地利用の混在傾向が著しい農村集落では，これらがもたらす弊害を排除するために集落空間のゾーニングの役割が重要であり，今後の土地利用の方向を示す必要性がある。 滋賀県五個荘町河曲集落では，1998年9月，自治会長のもとに「河曲長期プラン策定委員会」を置き，集落が抱えた課題の自主的な対応策に取り組んでいる。 委員は区長から年齢，性別を配慮して男子5名女子2名の7名が各住民組織の代表として任命されている。 本研究では，本委員会と連携しながら集落課題と住民意向をふまえた生活環境整備の基本構想を外部支援者の立場から提案した。研究にあたっては，集落構造の変質を追跡し，集落の個性としての景観特性を現地調査するとともに，集落の課題，住民の意向を把握した。