地方改良運動と模範村，稲取村

摘要

現在，わが国では地方分権化が推進され，地方の自立的運営が求められている。しかし，地域社会および経済の自立には，未だ多くの問題がありまた，地域の振興および農村計画において大きな役割を担っている行政市町村の計画方針も万全であるとは言い薙い。 市町村の自立的発展は地方分権化の進展には不可分な要素である。 本研究は，市町村で行われる農村振興および地域計画の歴史的展開として地方改良運動を取り上げる。その理由は，近代日本の地方振興運動における町村是運動，地方改良運動，農山漁村経済更生運動という流れの中で，明治後期から大正期にかけて展開された地方改良運動が，行政市町村の自主的，自立的振興を促した運動であったことであり，現代の市町村を中心とする振興の一助となると考えたことと，また，各市町村における歴史的展開，当時の農村計画を明らかにすることは，現代における農相計画を考える上でも重要なことである。