健康保養の観点からみたルーラル、ツーリズムと包括的ケアサービスとの連携に関する研究

摘要

高齢化の顕著な農山漁村地域では，健康寿命の長期化を図るための健康サービスの推進が重要な課題となっている。 一方，同地域では，農山漁村環境を活用した滞在型観光（ルーラル、ツーリズム，以下，RT）が取り組まれるなか，都市居住者の健康保養ニーズの増加に伴い，保健休養機能の活用に重点をおいた滞在型観光を地域振興施策の柱とする自治体がみられるようになっている。 これら2つの動向について，前者は地域内の保健 ⒁蒋煛⒏ｌ恁旦`ビス（以下，包括的ケアサービス）としてとらえられ，後者はもっばら所轄官庁ごとに推進される地域外との関係構築（都市農村交流）に施策が傾注される。 これら両者の関係について，健康保養を単に「農村で余暇を楽しむ」ことから，積極的に健康増進，疾病予防，治療，リハビリなどを組み込み，滞在型観光の内実を深める方向づけをすると，、地域の包括的ケアサービス供給体制のあり方がその成否に大きな影響を及ぼすと考えられる注3）。 そこで本研究は，健康保養を意図するRTと包括的ケアサービスとの連携体制構築のための要件と課題を明らかにすることを目的とする。