家畜福祉に対する酪農家の意識 一酪農学園大学生の卒業論文と追加調査から一

摘要

この調査は家畜福祉についての酪農家の考え方を 調べることを目的に、鈴木遼（2009年度本学酪農学 科卒業）の卒業論文として企画.実施され、その論 文にさらに追加調査を加えたものである。調査内容 や調査方法については本学附属農場と相談の上で決 定したもので、同農場との共同研究でもある 最近、家畜福祉への関心が高まり、制度化も進ん でいる。欧州では、1988年に鶏に関する福祉規定が 制定され、その後は牛や豚も対象となり、2000年に は欧州連合（EU)の有機畜産規制が、さらに01年 には国連食糧農業機関（F A 0) Z世界保健機関（W H0)の合同食品規格委員会で有機畜産のガイドラ インが制定されている。そして今、日本でも家畜福 祉規定を制定しようと準備が進められている。 家畜福祉には、こうした制度的問題に加えて「家 畜にとっての幸福をどのように定義するカゝ」という 人の主観的判断にかかわる問題がある。今回は人の 主観的判断がかかわる部分について、学生の実習先 の酪農家を対象に調査用紙による調査を行った。併 せて、どのような要因から福祉意識の影響を受け、 どのようなことに家畜福祉が影響しているのかを検 討することにした。