ウィンドウレス鶏舎におけるサルモネラ検査の採材法と消毒法の検討

摘要

一般に，サルモネラの汚染状況調査には，排気口塵填、飼槽、盲腸便、鶏卵など，多岐にわたり検査が必要とされている。さらに，多数の鶏舎を検査するためには，膨大な労力が必要である。そこで今回省力化を図るため，採材場所の違いによる検出率の検討を実施したところ，陽性鶏舎においては，排気口塵埃：79％，床塵嘆：79％，壁度埃：40％、盲腸便：4％の陽性率であった。 このことからスクリーニング検査の採材は，排気口塵埃あるいは，床塵埃がよいと思われる。 しかし，排気口塵埃は採材において困難な場合が多い（高所など）ので，採材の容易な床での検出感度向上のため，採材方法の検討を行った。 ガーゼパット（GP）を使用し鶏病研究会報に準じた牽引スワブ法（通常法），通常法より牽引時間を短縮する方法（変法1），変法1と同様に牽引し，GPをパクトペプトン水で前培養する方法（変法2）の3方法で比較した。 その結果，通常法：78．6％，変法1：10％，変法2：100％の検出感度が得られた。変法1変法2のいずれも100％であったが，変法2は活性低下菌の検出において変法1より優れているという知見から，スクリーニング検査として床塵埃を材料とし，変法2で実施することがより有効と推測された。 また，鶏舎のサルモネラ陰性化は困難であるとされている。 そこで，効果的な消毒方法について検討した。 消毒試験1：水洗、発泡消毒－オールアウト時，消毒試験2：繰り返しの水洗、発泡消毒、石灰散布－オールアウト時，消毒試験3：石灰散布のみによる床面の消毒－イン時の3方法で比較したところ，試験2では鶏舎内でサルモネラが検出されず，その後の検査においても検出されていないことから，繰り返しの水洗、発泡消毒、石灰散布を併用した試験2が最も有効な消毒法と考えられた。