光合成系としての葉の構造

摘要

前号では竹中（りが，植物の受光量調節について，個体のレベルから葉のレベルまでの現象を解説した．竹中は「光合成の研究において，光などの資源が植物によって獲得された登のことはよくわかってきた」と述べている．しかし，実際に研究者人口が集中し，よく調べられているのは，光合成の分子機構に関することである．植物にあたった光が，葉の内部でどのように吸収され，どのように使われているのかという，ミクロなスケールの生態学的あるいは生理解剖学的な研究は少なく，まだ未解決の問題も多い．本稀の目的ほ，個葉の光合成の生理解剖学的な研究のうち，光環境と光合成に関する研究を紹介することである．おそらく今後，葉の光合成の研究は，細胞生物学を媒介にして，生理解剖学と分子生物学とがつながる方向をもつであろうから，そのような研究の可能性についても述べたい．