分子育種学（遺伝子工学）の三靴臧生命科学研娜と錢化学

摘要

筆者は，昭和24年の春，東京大学農学部農芸化学科に入り ました（写真1).まだ敗戦後の貧困と飢餓の時代の中で，赤 茶けた焼け土が地平まで続き，駅の周囲の闇市のバラックに 戦闘帽と軍服の人々が集っている殺伐とした時代でした.酒 は，配給の他は酒屋で買うことも違法で，大学2年のときに 焼酎（といってもアルコールの25%溶液そのもの）の自由販 売がやっと認められました.それでも，60数人の我がクラスは優秀でした.旧制高校 (全国に約30校)の理乙（理II相当，ドイツ語第一外国語） の，首席から一桁の人々が集まっていました.それは，海軍兵学校や，陸軍予科、本科士官学校（旧制中学校の優秀者の 約半数が進学した）の在学者，卒業者が一時に旧制高校に入 り，それがたまって出てきたのが昭和23年以降だったから です.しかし，戦いの傷跡は深く，戦死者は2， 3年上のクラ スしかいなかったものの，軍人の家庭では公職追放で主人に 収入もなく，自分で鶏を飼って奨学金の足しにしたり，食を 抜いて血を売っている人もいました.