上川管内養豚場における豚増殖性腸炎浸潤状況調査－Lawsonia intracellularis抗体検査及び病原学的検索から－

摘要

豚増殖性腸炎（以下、PPE）は、小腸及び一部大腸粘膜の過形成を特徴とするLawsonia intracellularis（以下、Li）を起因菌とした急性あるいは慢性の疾病である。 急性型では腸粘膜の出血によりタール様の血便を排泄し、高い死亡率を示すことがある。 一方、慢性型は臨床症状に乏しいため、農場での発見は難しく、と畜場において腸腺腫症あるいは増殖性腸炎として摘発される場合が多い。平成12年度第48回本業続発表会において、中岡らが当管内でのPPEの発生と、と畜場において廃棄される腸管の浸潤状況調査を報告した。以降、我々は病性鑑定においてPPEにしばしば遭遇することから、今回、浸潤状況の推移を把握するため調査をするとともに、疫学解析、混合感染調査、また、Li検出における診断方法の比較について検討したので併せて報告する。