骨恒常性における局所カルシウム輸送とビタミンDの役割

摘要

加速的に高齢化が進展する現代社会において, 運動 機能の保持は生活の質を規定する重要な要素である. したがつて骨粗鬆症をはじめとする運動器疾患の病態 解明と治療法の確立は医療上の急務課題であり, 疾患 予防への対策が講じられている.骨組織の恒常性は, 骨形成細胞の骨芽細胞および骨吸収細胞の破骨細胞の 両者の絶妙なバランスによって得られ, これらの不調 和が骨破壊の病態基きとなり多くの場合は破骨細胞の 異常な活性化に起因する.そして骨はカルシウム貯蔵 庫としての重要な役割を担うため, 血液中カルシウム 濃度低下時に破骨細胞機能は亢進し骨からのカルシゥ ム動員をもって血中濃度は正常化される.つまり破骨 細胞の活性化は骨破壊の本体でありながら, 生体カル シゥム恒常性維持に必要不可欠な生理作用でもある.