エボラウィルス病の国内対策：BSL-4施設の必要性

摘要

日本ではエボラウィルス等バイオセーフティレベル4 (BSL-4)に分類される病原体を取り扱うこ とはできない.1981年に国立感染症研究所は世界に先駆けてグローブボックス型のBSレ4施設を建 設した力、30年以上が経過している現時点においてBSL-4施設として稼働されていない.2014-15年 にかけて西アフリカにおいて過去にない大きな規模のエボラウィルス病（EVD)が流行している.ま た，致死率の極めて高い新興ウィルス感染症が世界各地で発生している.このような致死率の高い感 染症対策に貢献するための研究がなされている中で，日本においては稼働しているBSレ4施設がな いことから，感染性のあるBSレ4病原体を取り扱うことができず，公衆衛生対応や研究領域におい て十分な力を発揮できていない.多くの高病原性ゥィルス感染症の病原体は動物由来ウイルスであり. 地球上から根絶させることはできず.これからも流行が続くことが予想される.日本においても BSL-4施設を用いて，BSレ4病原体による感染症対策のための研究や検査が実施できる体制を整備す る必要がある.