苔玉から盆栽につながる実技指導

摘要

苔玉づくりからは盆栽愛好にはつながらないという声を聞く中、山田香織氏の指導はひと味違った。 創作の感性は苔玉づくりにも不可欠だが、香織氏の指導の根底には盆栽というものがしっかりとあり、育てることの楽しさがあった。 　 苔玉づくりの指導実技の解説の端々で、香織氏は『今はシラサギカヤツリの花が楽しめますし、この花が終われば9～10月にかけてヤクシマススキが穂を上げてきて、10月頃にはハコネギクが花を咲かせます』と、つくった時だけでなく、上手に育てればその先も楽しめることを説明、さらには『冬場は冬枯れの姿になりますが、翌春には新芽が吹いてきます。ぜひその芽吹きの喜びを味わってほしいと思います。そして来年も、今年と同じく、花を順次咲かせてほしいと思います』と、持ち込むこと、育てることの楽しさを伝えた。これは、まさに盆栽につながる、またつなげようとする香織氏の指導方針を裏付けるものと言えよう。