「心」に迫る脳研究

摘要

1970年代に始まる認知心理学の発展，PET，fMRIなどの非偉襲的脳機能測定法の開発にょり，かつては科学的研究の対象とはされなかった「心」の問題が，最近の脳科学では積極的に取りあげられるようになった．1900年代に脳の研究を飛躍的に発展させようとするアメリカの「脳の10年」の運動に続き，日本でも21世紀に勝と心の研究を飛躍的に発展させるべく，「脳を知る」，「脳を守る」，「脳を創る」という三つの柱のもとに国家的規模での研究の盛り上りをみせている．心の問題にかかわる心理学的研究，脳研究の歴史を考えると共に，最近の医学的、工学的立場からの心の研究の発展についてふれ，今後のさまざまなアプローチからの研究の協力と統合の方向についても考えた．