東京農業大学、農学部、畜産学科: 河野友宏研究室

摘要

私の研究室は12年前に小さな産声をあげて以来，毎年数人の学生を受け入れ活動を続けてきた．これまでに20人あまりの学生が卒業論文を作成し，そのうちの半数が大学院へ進学して研究に携わってきた．私たちが一貫して取り組んできた研究課題は，「単為発生」と「クローン動物」である．この二つの研究テーマは一見まったく異質なもののようだが，実は両者とも，生殖（雌雄ゲノムの混合の過程）を経ずに次世代への個体発生を開始するという共通項によって結ばれている．受精は遺伝子の多様性を生み出すゲノムの混合（生殖）に必要であることはもちろんだが，それとは別に，受指の結果生じる雌雄両ゲノムの存在自体が哺乳類の個体発生には不可欠である．分化した体細胞からクローン動物が生まれるメカニズムと，単早発生による個体発生ができないという相反する二つの事実の封こは，哺乳類の生命再生のメカニズムを解き明かす鍵があるものと信じて研究を続けている．ここでは，これら二つに関する最近のわれわれの研究成果を紹介させていただきたい．