アゲハがお尻で“見”ているもの--尾端光受容器の構造と機能--

摘要

アゲハはお尻に“目”をもっている．私はこれを，尾端光受容器（tail photoreceptor）あるいは生殖光受容器（genital photoreceptor）と呼んでいる．“目”とは言っても，実はものの像や色が見えるような立派なものではない．ごく簡単なつくりで，1匹に2対，わずか4個の光受容細胞があるだけである．しかしそのはたらきは大切で，4個のうち2個の光受容細胞がなくなると，オスは交尾ができなくなり，メスは卵が産めなくなってしまう．ここでは，尾端光受容器がどのように発見されたか，その後何がどのように調べられたか，今後の問題として何が残されているかということについてご紹介したい．