神経伝達物質要素のPET解析による脳機能イメージング

摘要

近年，高次脳機能研究を飛躍的に発展させてきたのは，ポジトロンエミッショントモグラフィー（PET）やファンクショナルMRIなどの非侵襲的計弼法の発達、実用化に負うところが大きい．ここでは，PETの特徴であも「生きて機能している」脳内の物質代謝を追跡できる利点を生かした比較的アプローチしやすい「心」の部分の研究がいかに進められているかについて，実例をあげて鋭明した．PETにより現時点で解析できる神経伝達要素や脳特異的代謝要素はそう多くなく，まだまだ適切な標謝化合物のデザイン、合成に関する研究の進展も必須であるが，近い将来，より多元的な要素の解析が進められることは必定であり，ヒトやサルの脳の正常像や病態像に適用できる研究様式として必要不可欠のものである．