生物多様性,生態系の観測ネッ卜ワーク——生態系モニタリングの必要性と現状

摘要

現在，地球全体の環境は，人間の活動の影響により危機 的状況になっている。その中で，地球の気候変動と生物多 様性の劣化に関しては，それぞれ気候変動枠組条約と生物多様性条約が1992年6月にリオ,デ.ジャネイロで開か れた環境と開発に関する国際連合会議（UNCED,地球サ ミット）で採択され，国際的な取り組みが始まった。この うち，生物多様性条約では，地球の生態系や生物多様性の 危機的状況を改善し，持続的可能にすることを目標にして いる。しかし，後で述べるように目標を達成するのはもち ろん，現状を把握するのも容易ではない。その理由の一つ は，生物多様性が複雑な構造や要素を持つからであり，生 物多様性条約の中でも，対象として生態系の多様性，種の 多様性，遺伝子の多様性という三つの階層を明示している。 本特集で主に焦点をあてるのはこの中で生態系の多様性で ある。