フィールドサーバを用いた鳥獣害監視システムと 畜産現場での獣害対策

摘要

日本各地で野生鳥獣による農業被害が深刻 な問題となっている。被害軽減を実現するに当 たっては、現場である中山間地域の高齢化、労 力不足対策としての省力化が求められている。近年におけるICT (情報通信技術）の発達は目 覚ましく、鳥獣害対策分野の省力化では被害 発生の監視、即時通報、対策機器の遠隔操作 などに大きな可能性を秘めている。当セン夕一 では農業に寄与するICT利用の研究を行ってお り、圃場における環境情報、作物の生育情報、 農作業情報などをリアルタイムモニタリングでき るフィールドサーバ技術を開発、発展させてきた (深津·平藤2003、 Fukatsu et al.2012)。今 期（2011-2015年度）は、この技術を鳥獣害の 現場へ展開する実証研究と技術開発に取り組 み、野生獣の農地、牧草地への侵入と畜舎での被害を映像で監視、通報できるシステムを開 発した（竹内·深津2014)。 ICT機器を活用し た鳥獣害対策事業は農水省の補助対象となり、 行政からの開発要請もますます強くなつている。 こうしたことから今回は、畜産現場での鳥獣害 の現状、本鳥獣害監視システムの概要と実証 事例、さらに牧場における獣害対策について開 発の最前線から話題提供する。