豚の人工授精の現状と展望：III．膠人工授精における技術的課題と技術開発方向 - 1．豚精液の液状および凍結保存

摘要

豚の人工授精は牛に比較して、著しく普及が遅れた。 その要因として、豚の精液は低温に対する抵抗性が弱く凍結保存が難しいので、野外の人工授精における利用が困難であり、また液状精液も保存期間が短く、1回の種付けに多量な精子が必要なことがあった。 最近、豚の液状精液については、希釈，保存液が改良されて長期保存が可能となり、また受胎率も向上した。 豚精子の注入技術の面でも子宮深部注入法が開発されて、少量の精液での人工授精が可能になりつつある。 本稿では豚精液の保存を中心に最近の豚人工授精に関する知見を紹介する。