牛肉ニッチマーケットの可能性--安全、安心に特化した牛肉の事例を中心に--

摘要

本稿の目的は、牛肉市場の中でもまだまだニッチな部類に属すると思われる安全、安心に特化した牛肉の可能性について検討を行うことにある。 これらの取り組みは全国的にはまだ数は少なく、相対的に低品質の牛肉である乳用種やFl等でその事例が散見される。 またそのような安全、安心を付加した取り組みは次節でも触れるが、産地ごとに多様な展開を見せている。 本稿では以下の3事例の実態に触れ、その現状と問題点を明らかにし、今後の可能性を検討する。 1つ目の事例が岩手、短角牛にみられる資源循環型経営に着目した県独自の短角牛認証化の実態である。 そして2つ目が福岡県宗像市の薄牧場にみられる農場HACCPとモト牛、飼料等のトレーサビリティ明確化の取り組みである。 そして3つ目が全農の安全、安心システムによって第1号認証を取得した宗谷畜産公社の事例である。