高泌乳牛、飼い方の研究: 高泌乳と衛生管理

摘要

近年、わが国の搾乳牛は遺伝的能力の急速な改良によって、経産牛の平均泌乳量は年々増加してきている。 平成八年度の乳用牛群能力検定成績のまとめをみると、ホルスタイン種における三〇五日検定乳量の全国平均は八四六〇毎に達している。 さらに、三〇五日で一方向以上を産乱する高泌乳牛は、全国検定実施農家（一万三二四六戸）の四七六戸に飼養され、その頭数は五万〇一八二頭で、検定実施頭数の九．四％にあたる。 日量四〇kg以上を産乱する牛において、養分要求量を充足させるためには、体重当り四．〇～四．五％以上の乾物を摂取する必要がある。 このような大量の乾物摂取には、幼齢期からじゆうぶんな良質粗飼料を摂取させることと、食欲増進に対するいくつかの工夫によって、形成される第一胃の容積確保にかかっている。 高泌乳牛の養分要求量を充足させるため、高エネルギーエロ同穀物飼料を多給すると、一時的に泌乳量は増加するが、相対的に租繊維給与率が不足して、消化機能に異常をきたすことが多い。 高泌乳生産の維持には搾乳牛の健康を維持することが必要で、それには、第一胃の恒常性が維持されなければならない。 最初に、筆者らが行った調査のうち、経産牛一頭当りの年間産乳量一万kg以上を示した半群について、一年間定期的に観察した成績を紹介し、高泌乳を支えるエネルギー代謝機能を知る資料として提供したい。