基調講演から：持続的酪農生産と 獣医師支援の取組み

摘要

持続的家畜生産という概念は過去10年来で発展 してきた。今日では，この概念は4つの内容，すな わち経済，環境，社会そして倫理から成り，それら は十分に調和の取れたものとして相互に考慮され なければならない。草地に立脚した生産に取り組む 酪農生産者は，この概念が重要な役割をもっている。 彼らは，健康で動物に配慮した方法による酪農生産 とともに景観を維持し水の管理を行なう必要があ る。さらに，彼らは社会に対する責任をもっている。 食料生産-消費の連鎖における他の利害関係者（出 資者）もまた重要な役割を持っている。今後，持続 可能性の概念は三つの筋の通った明らかなレべ ル：つまり構造的，技術的そして管理レベルで考え なければならない。構造的なレベルは，酪農生産-製品加工-小売-消費者の構造を示している。技術 的なレベルのものは技術と全体の酪農生産から消 費までに関わるシステムに関連する。管理レベルは, 感染症と疾病の管理，栄養，廃棄物と水質管理，家 畜福祉，家畜衛生，家畜栄養および家畜遺伝に関し て，連鎖を通しての品質管理と品質保証に関係する。 管理領域の最適化は酪農場の持続可能性と強く関 係している。より良好な乳牛の健康と福祉は生産要 因の効率的な使用，また経済的ならびに社会-経済 的利益につながる。獣医師の指導活動は，種々の酪 農場での持続可能性を高める上で酪農家に対して 助言や指導により酪農場の持続可能性を高めることへの支援が可能である。例としては，HACCPを ベースにしたハ一ドヘルスや生産管理指導プログ ラムゃ品質管理指導プログラムなどがある。