林野サイドからみた牧野に関する研究行政対応100年の要諦（16）一林野庁の肉用牛生産育成実験事業（略称：実験牧場）－

摘要

実験牧場とは，1967～78年の12年間にわたって林野庁が全国10カ所の国有林を対象に展開した混牧林事業のことである。 当時の肉用牛頭数の激減に対する施策のつとして，森林施業との調整を図りながら，肉用牛の子牛生産を「実験」と称して取り上げた。 1960年代に入ると，国有林の地元活用問題は新た　 な局面を見せており，1961年制定の「農業基本法」を背景に，畜産と果樹作の選択拡大が標樺され，国　有林がその対象地として狙われた。 加えて東北地方を中心に戦前からくすぶり続ていた国有林野解放の火種がまたもや燃え盛ることとなった。