コンプ目海藻の葉状部消失現象，各地で発生の模様－藻食性魚類の異常発生か，温暖化か？-

摘要

沿岸資源研究室では，長崎県野母崎町地先の水深約15m以浅に設定した調査区において，1993年より底生生括初期のイセエビを対象とした潜水調査を継続している。 この水域は，主にノコギリモクとクロメが優占する転石地帯であり，これら大型褐藻類がポストラーバの着底数を左右したり，底生生満初期の稚エビの索餌場となるなど，その重要性が明らかとなってきたところである。ところが，昨年の8月9日までは観察されていた健全なクロメ群落が，9月8日の調査時には下の写真の通り，葉を失って茎だけ林立する状態に陥っているのが観察された。 当地でこの様な例を観察するのは，昨年についで二度目であるが，昨年はごく限られた場所でしか見られなかったのに対して，今回はそれをはるかに上回る規模であった。 残った茎や海底に散乱していた葉の縁辺には，半月型の魚類の噛み跡らしきものがたくさん見られた。