黄海にスナヒトデが大量に生息すること

摘要

スナヒトデは潮下帯から水深100m前後の泥底に生息する腕の長いヒトデである。 分布域は北海道から九州までとされ，有明海や東京湾のような内湾沿岸域にも普通に生息する。 また，北日本に多く見られるエゾスナヒトデはスナヒトデと区別されたこともあったが，色彩の差は種内変異であるという見解が示され，現在ではスナヒトデー種として扱われている（小黒，1990）。 スナヒトデについてはこれまで，ホッキガイなどの食用二枚貝を食害することが報告されている（高丸、佐藤，1983）。 しかし同じヒトデ類でも，過去に何度も大発生しアサリ養殖等に害を及ぼしてきたキヒトデと比べ，スナヒトデは特にとりあげられる機会の少なかった種類である。 ところが，最近になって徳島県沿岸の紀伊水道側で大発生したことが知られ，その後のスナヒトデの生息状況について追跡調査が行われている（剛崎ほか，1997）。